2024.6.20更新

家族信託のデメリット

家族信託には以下のようなデメリットがあります。

本人の保護が弱くなる

家族信託によって受託者に与えられる権限は「特定財産の管理処分権」のみです。

財産管理と無関係な「本人の看護や介護に関する事項」について、受託者に決定権はありません。

また「取消権」が認められないので、認知症になった本人が勝手に締結してしまった不利益な契約の取消は不可能です。

成年後見制度を利用すれば、後見人に身上監護権や取消権が認められますが、家族信託を利用すると本人を充分に保護できなくなる可能性があります。

遺言でしかできないことがある

家族信託を利用すると、死後の財産管理処分の方法を指定できるので、遺言と似た機能を持つといえます。

ただし遺言にしかできないことも多々あります。

たとえば「未成年後見人の指定」「子どもの認知」や「相続人の廃除、取消」などは遺言でしかできません。

家族信託には限界があることも知っておきましょう。

贈与税が発生するケースがある

家族信託を利用して財産を受託者に預けると、その時点で財産が委託者から受益者へ移転すると考えられるので「贈与税」が発生します。

たとえば親が弟に不動産を預けて子どものために管理するよう委託した場合、子どもに贈与税がかかります。

家族信託を利用する際には、税金についても正しい知識を持って臨む必要があります。

損益通算や繰越控除ができない

不動産を対象として家族信託を利用するとき、損益通算できないことに注意が必要です。

損益通算とは、ある所得で損失が出たときに他の所得から差し引ける制度です。

たとえばABの不動産を運用して収益を上げている場合、Aの不動産が運営上赤字になってもBの不動産が黒字であれば、Bの利益からAの損失を差し引いて税額を安くできます。また損失は3年間繰り越せます。これを「繰越控除」といいます。 

しかし信託財産は一般財産と切り離されるので、損益通算できません。

繰越控除も認められていないので、税制上の優遇措置を受けにくくなります。

なお信託財産間の損益通算は可能です。

受託者に権利が集中してトラブル要因となるリスク

家族信託を利用するとどうしても受託者に財産管理処分の権限が集中するため、他の相続人や親族から不満が出る可能性があります。

リスク低減のため、受託者以外の相続人や親族にも利益が行き渡るように受益者設定をすることや、家族信託の制度について説明し理解を求めるなどの対応が必要となるでしょう。

相談窓口

家族信託を利用する際には、デメリットやリスクも理解した上で対策を練っておく必要があります。

司法書士がアドバイスとサポートを致しますので、関心をお持ちの方はお気軽にご相談下さい。

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