2024.6.21更新

家督相続とは|現代では通用しない昔の家族法

「家督相続(かとくそうぞく)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

明治から第二次世界大戦後にかけて、日本で採用されていた家族に関する制度です。
戦後、法改正によって廃止されたので現代の相続には適用されません。

ただ今でも、家督相続に近い考え方をする方がおられます。
今回は家督相続制度と現在の民法による相続制度の違いを解説します。

1.家督相続とは

家督相続とは「家」を単位にして親族や相続関係を把握する制度です。
家督制度のもとでは、それぞれの家に「戸主」という家の主が存在します。

通常は父親が戸主となり、父親が死亡すると長男が戸主となります。父親が生前に隠居して長男へ戸主の地位を譲ることも認められていました。

家督相続制度のもとでは、家の財産はすべて「戸主」が掌握します。つまり父親がすべての財産を所有・管理し、父親が死亡・隠居すると新たに戸主となった長男がすべての財産を相続します。先祖をまつるための祭祀財産も、当然に戸主となった長男がすべて相続します。

このようにして、家の財産はすべて「戸主」が管理し引き継いでいく制度が家督相続です。長男以外の子どもや妻は一切遺産を相続できない不公平な制度でした。

日本において家督相続制度が適用されていたのは明治31年から昭和22年までの間です。

2.現在の民法による相続方法

家督相続は不公平な制度であり、平等権を認める新しい憲法には沿いません。

そこで戦後に民法が改正され、より平等な相続ルールが制定されました。

今の相続法では、配偶者がもっとも優先される相続人となります。夫であっても妻であっても、相手が死亡したら必ず相続人になります。

子どもが複数いる場合、性別や年齢にかかわらず全員が同じように扱われます。
長男も次男も妹も、すべて同じだけの相続権が認められます。婚外子と嫡出子の区別、養子と実子の区別もありません。

3.相続登記されていない土地に家督相続が適用される?

現代の相続において、家督相続が適用されることは基本的にありません。

しかし稀に「長らく相続登記されていない土地」がある場合に家督相続が適用されるケースがあります。

何代にもわたって相続登記されていない土地がある場合、現在の正しい所有者の名義にするには順番に登記をしていかねばなりません。

今の登記名義人が昭和22年5月3日より以前に死亡している場合には、家督相続に従って相続人を定めなければならない可能性があります。

登記せずに放置されている土地の名義変更を行う際には、思ってもみなかった古い法律が適用されるケースもあるので、慎重に対応しましょう。

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