亡くなった方が会社の経営者や個人事業主であった場合、相続手続きに「会社」「事業」に関するものが含まれてきます。
「会社」の相続は、会社形態によって手続きの進め方が変わってきます。
有限会社は2006年に廃止されいますので新規設立はできませんが、廃止前に設立された有限会社は存続しており、現在の4つの会社形態を含めると下記の会社があります。
会社は”法人”といって、人格として扱います。
「株式会社●▲」さん、という名前の人物だとお考えください。
そのため、会社の経営者(社長)が亡くなっても、会社自身は生きて(存続して)いますので、「会社」そのものは相続することはできません。
そして、会社名義の不動産や資産等も「株式会社●▲」さん所有の財産であって社長の財産ではありません。
負債も会社本人の借金となりますが、亡くなった方が連帯保証人になっている場合、会社本人の資産で返済ができない状況であれば、故人が連帯保証人として借金を負うものとなります。
このように「会社(法人)を相続する」場合、会社まるごと相続するわけではなく、会社の運営権利を株式の相続によって承継するようなイメージとなります。
会社(法人)の社長が亡くなった際、【会社の株式】や【出資持分】を相続し、相続人が株主となって総会に参加、次の代表を決議するものとなります。
法人の場合、「会社の財産」と「経営者個人の財産」は別々に考えるものとなりますが、個人事業主だった場合は「事業の財産」と「事業主個人の財産」全てが相続財産になります。
下記の表で比較しご参照ください。
| 会社自身 【例:お菓子メーカー、アパレル会社等 事業そのもの】 | 会社のもの |
| 会社の株式、出資持分 | 故人(株主)のもの |
| 会社名義の不動産や自動車、運用株式等の資産 | 会社のもの |
| 会社の売上や借金 | 会社のもの |
| 事業本体 【例:飲食店、クリーニング店 事業そのもの】 | 故人のもの |
| 事業用不動産(お店、倉庫、事務所等) | 故人のもの |
| 事業用の自動車、バイク等 | 故人のもの |
| 事業関連の負債(未払等) | 故人のもの |
| 事業関連の未収金(売上等) | 故人のもの |
このように、法人である場合の相続財産は「株式」や「出資持分」のみとなりますが、個人事業主だった場合、事業に関するものすべてが故人の相続財産となります。
下記、関連記事もご参照ください。
合同会社、合資会社、合名会社は「持分会社」と言われ、全員が出資者であり経営者という会社形態です。
定款の定めによって相続手続き方法が異なりますので、相続が発生したら定款の確認から行いましょう。
いずれの会社形態であっても、家庭裁判所による相続放棄をすることで会社を相続せずに放棄することが可能になります。
ただし、「会社だけ」を放棄することはできません。
個人財産含めすべての相続権を放棄するものとなります。
注意が必要な点として、相続人本人が取締役などの会社役員になっている場合、相続放棄をしても元々ある役職の地位を放棄することはできませんので、完全に会社関係の手続きから離脱することは難しいものとなります。
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