2024.6.13更新

特別寄与料とは

皆さんは特別寄与料という言葉を聞いたことがありますか?

特別寄与料とは、「相続人ではない被相続人の親族が」亡くなった方の介護など特別の貢献をした場合に、特別寄与料の請求(=つまり、金銭の請求)をすることができる制度です。
簡単に言うと、「頑張って私が介護してたんだからお金ちょうだい!」と言える制度です。

似た言葉として、寄与分制度が以前からあります。
こちらは「相続人が」療養看護をした場合に寄与料を請求できる制度です。

これまで、「相続人でない人」は、一切何も請求できなかったのですが、それは非常に不公平だとの声がありました。

相続人でない親族であっても頑張って療養看護した人に司法が救済の光を当てた制度、それが特別寄与料なのです!

よくある例

長男の妻(相続人でない人)が長男の父(義父・被相続人)を長期間療養看護していたような場合です。

このような場合についても相続法改正により特別寄与料を請求することができるようになりました。

特別寄与料の算定方法

では、一体どうやって、いくら請求できるのでしょうか。気になると思います。

【第三者の日当額 × 療養看護日数 × 裁量割合】

まずは、当事者間の協議により金額を決めます。
ただ、話し合いがまとまらないこともちろん想定されます。
そんなときは、家庭裁判所に請求し裁判所に決めてもらうことができます。

家庭裁判所では、「いつ、どのくらい、どうやって」療養看護したか等一切の事情を考慮して額が決められますが、上記の算定方式を参考に算出することがあります。

裁量割合とは

介護の有資格者でない親族が療養介護を行っているため、介護の専門職でないことに鑑みて減額されるものです。

0.5~0.7の間で定められることが多いと言われています。

例えば、上記の事例で、長男の妻が義父の介護を3年間行った場合
(日当額が7,000円、裁量割合0.6としたとき)

【特別寄与料】

7,000円×1095日(365日×3)×0.6≒約460万円

となります。

特別寄与料を請求するための要件

以下の4つをすべて満たす必要があります。

  • 1
    被相続人の「親族」であること
  • 2
    被相続人に対して「無償」で療養看護その他の労務の提供をしたこと
  • 3
    被相続人の「財産の維持または増加について」特別の寄与をしたこと
  • 4
    2️⃣と3️⃣の間に因果関係があること
    例:無償で親族が介護したことにより施設費等で財産が減らず済んだ。

※通常期待される貢献の程度を超えて特別の寄与をする必要があるため、「相続人による」寄与分制度と同様に簡単には認められないイメージとなります。

注意点

  • 「2019年7月1日以降に亡くなられた方のみ」が対象
  • 請求には期限があり、意外と期限が短い
    →相続の開始及び相続人を知った時から六ヶ月又は相続開始の時から一年以内
  • 請求額に制限が生じることがある
  • 相続税申告がある場合は、遺贈を受けた扱いになるため、課税対象(2割加算)となる

特別寄与料制度を検討している場合

日常的に介護をすることは本当に大変なことですが、超高齢化社会の日本において、介護に関する問題は避けては通れません。

将来請求するときに備えて、介護の日記をつけたり、領収証等を保管することをおすすめ致します。

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この記事の監修について

東京国際司法書士事務所 代表司法書士 鈴木敏弘が監修

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