2024.5.15現在

株式等の未受領配当金の相続手続きについて

株式等の有価証券は通常、証券会社の口座に預けていらっしゃる方が多いと思います。

そのため、相続手続きは証券会社において行い、それで終わりになると勘違いされている相続人の方も多いようです。

 

ところが、実際はそれだけでは終わらないことも多くあります。 

被相続人(亡くなった方)が持っていた株式について、配当金が配分されるような銘柄であった場合、被相続人が受取らないままになっている「未受領配当金」が存在することがあります

原因としては、証券会社はただ被相続人の株式を管理しているだけで、株式の配当金の管理は、株主名簿管理人となる信託銀行が行っているためです。

証券会社は、相続により名義変更がなされると速やかに、株主名簿管理人に通知しますが、原則として、証券会社で配当金の管理はしていないため、名義が変わったからといって自動的に、配当金も新名義者の口座に入るということにはなりません。

 

※被相続人が「株式数比例配分方式」を選択していた場合、配当金はすべて証券口座で受け取っていますので、未受領配当金が生じることはありません。

 

相続が発生してすぐに名義変更ができるケースは少なく、相続が発生してから被相続人(故人)名義の口座から相続人名義の口座に移管されるまで、どうしても時差が生じるため、その間に発生した配当金は、どなたにも支払われずプールされてしまう、ということになります。

配当金の受け取り方法

そもそも、配当金ってどうやって受け取っているの?と思われる方も多いかと思います。

株式の配当金の受け取り方法は、大きく分けて3つあります。

  • 1
    株式数比例配分方式
    証券口座で受け取る方法です。
    被相続人がこの方式を選択していた場合、未受領配当金は発生しません。
    1銘柄でも特別口座
    (信託銀行で管理している株式)があるとこの方式は選択できません。配当金計算書の税額合計が「***」となっている場合、この方式です。
  • 2
    登録配当金受領口座方式(個別銘柄指定方式)
    保有すべての上場株式の配当金を指定した一つの口座で受け取る方法です。(個別銘柄)と書かれた方式は、銘柄ごとに銀行口座をわけて受け取る方法です。
  • 3
    配当金領収証方式
    株主宛に「配当金領収証」が送付され、指定期間内にゆうちょ銀行に持って行き配当金を現金で受け取る方法です。

被相続人が、上記1.の方式で配当金を受け取っていた場合、未受領となっている配当金はありません。証券口座の相続手続きのみで完了、ということになります。

 

上記2.の方式で配当金を受け取っていた場合、指定していた銀行口座が凍結された時点で配当金を受け取れなくなるため、宙に浮いてしまう配当金(未受領配当金)が生じます。そのため、配当金を管理する株主名簿管理人(信託銀行)に連絡をして、相続手続きを行い、配当金を受領します。

※ みずほ銀行のみ、口座凍結後も配当金の受領が可能です。

 

上記3.の方式で配当金を受け取っていた場合、例えば、下記のような親族が相続人の中にいれば、ゆうちょ銀行窓口に出向いて、受け取れることがあります。

  • 被相続人の配偶者
  • 被相続人と同居していた親族
    ※ゆうちょ銀行判断で受け取れないケースもあります。

     

上記に該当しない相続人や、該当していても受け取れなかった場合は、上記2.と同様で、配当金を管理する株主名簿管理人(信託銀行)に連絡をして、相続手続きを行い、配当金を受領します。

未受領配当金があるかどうか不明な場合・・・

株式の銘柄によって相続手続き先や手続き方法が異なりますので、まず、被相続人が所有していた株式の株主名簿管理人を調べます。

通常、株式を所有している会社のホームページに記載されておりますので、そちらで確認していただき、その株主名簿管理人へ相続が発生した旨を伝えれば、必要書類の案内があります。

未受領配当金があるかどうかを確認する方法としては、2種類あります。

  1. 被相続人(故人)名義で、被相続人登録住所に、【残高証明書】を送付してもらう
  2. 相続人名義で、相続人の住所に、【残高証明書】を送付してもらう
     

上記1.はできるだけ早く確認したい場合で、被相続人が生前住んでいた自宅(株式上、登録されていた住所)宛で書類発送されても問題がないケースです。

被相続人名義で、被相続人が登録していた住所に証明書を発行するので、何も証明書等を提出する必要がなく、手間をかけずに電話一本するだけで発行してもらうことができます。なお、書類到着(発行)までは通常約4週間程度かかります。

 

上記2.の方法で発行を依頼する場合は、信託銀行所定の申請書に必要事項を記入し、相続関係を特定する戸籍謄本や、申請者となる相続人の印鑑証明書等も必要です。それら一式を郵送して、書類審査の時間もありますので、書類到着(発行)までは通常約4~7週間程度かかります。

株式の配当金を受け取る権利には、時効があります!

株式の配当金については、時効が設けられています。

未受領配当金があることがわかったら、お早めに受け取る手続きを進めるのが良いでしょう。そのまま放置していると、あっという間に受け取る権利がなくなります。

配当金受領の時効は、民法上10年で時効、とされていますが、多くの会社では独自に10年より短い期間(上場企業では3~5年が一般的です)を定めていて、この期間を過ぎると、未受領配当金があるとして請求をかけても、時効を援用されて、支払ってもらえません。

そのため、相続手続きが事情によって遅れている場合、まったく進まないような場合は、時効とならないかご注意ください。

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東京国際司法書士事務所 代表司法書士 鈴木敏弘が監修

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