新設される「配偶者居住権」について

『相続・遺言ここだけの話』メールマガジンバックナンバー(2019年8月13日)

今日は2020年4月施行される「配偶者居住権」について、お話したいと思います。

配偶者にとって大きなメリットがあるとされている法律ですが、

デメリットもありますので、新たに法律ができるから安心!とは言い切れません。


居住権を設定できないケースもあり、不動産を所有している方は注目が必要です。

まず「配偶者居住権」とはどのような法律なのでしょうか。


たとえば、父親が亡くなり、配偶者、子供(1人)が相続人とします。

相続財産は、父親と配偶者が同居していた自宅(5000万円)と預貯金(3000万円)です。

遺産総額は、8000万円で、法定相続分は配偶者、子供それぞれ4000万円です。

親子関係が良好であれば、今後の生活のことを考慮し、

老後資金も考えた上での配偶者に多く相続させるというような遺産分割協議ができるのですが、

子供は自分の法定相続分はきっちりともらいたいと考えていたとします。


配偶者も長年住み慣れた家を手放なんて考えられません。

自宅は自分が相続すると考えていたとします。

今までの法律で上記のようなケースだと、

配偶者が不動産(5000万円)を相続すると法定相続分(4000万円)を超えてしまいますので、

子供の法定相続分を満たすために、1000万円を現金で支払う必要がありました。


共有名義で法定相続分を満たすように登記することもできますが、

親子関係が良好ではない場合はおすすめできません。

(不動産を売却したいときに共有者全員の合意がいるため自由に売却手続きできなくなるためです)


現金で支払えないとなると、調停になった場合でも多くは法定相続分でとなるため、

共有名義を余儀なくされたり、家を売って現金を用意するしかありませんでした。


このような問題を解決する為に、

不動産の権利として【所有権】とは別に配偶者には【居住権】が登記できるようにしたのです。


上記の件でも配偶者は住み続けることが目的でしたので、

子供に自宅を相続してもらった場合でも、

居住権を登記することができますので、生涯住み続けることができます。


居住権は配偶者が死亡した時点で権利がなくなりますので、

権利がなくなった以降は所有者がすべて自由に売却や取り壊し等を行うことができます。


しかし、この居住権の登記は、どのようなケースでも使えるものではありません。

ここがデメリットであり落とし穴です。


建物の登記が配偶者以外の人(子供など)と共有名義の場合、「居住権」は登記できません。

生前に所有権を移しておく必要がありますが、

贈与とする場合は、金額によっては贈与税の課税対象となりますので、

専門家に相談しながら進めるのがよいでしょう。


上記、居住権は遺言書で指定することも可能となりますので、

法改正を機会にすでに作成した遺言書の見直しをおこなうのもよいかもしれません。

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