2025.5.14更新

遺産分割協議でもめる、放置するデメリット

未分割におけるデメリット

遺言書もなく、遺産分割協議もなかなかまとまらない、もめてしまうような場合や、一部相続人と連絡がとれず放置せざるを得ない場合等、きちんと分割協議ができない場合、以下のようなデメリットがあります。

  • 1
    遺産を相続できない
  • 2
    相続税の各種控除や特例等利用できない制度がある
  • 3
    数次相続が発生して、相続人の数が芋づる式に増える
  • 4
    認知症や未成年の相続人が出現する可能性がある
  • 5
    相続登記の義務を果たせず、過料が課される

それぞれ詳しく説明していきます。

遺産を相続できない

遺言書がない場合、法定相続人同士で遺産分割協議をして、誰が遺産を承継するのかを決めますが、もめてしまって決まらない場合、原則として遺産は凍結されたまま、塩漬け状態になります。そのため、不動産の名義変更はできない、預貯金もそのまま、株式等有価証券もそのまま、という状態になります。

そのまま、と言っても、実際には一部財産を失ったり、税金を請求されたりします。

不動産があれば、名義変更をしていなくても、法定相続人には固定資産税を支払う義務があります。

株式の配当金の受給権については、行使しないと時効によって、受け取ることができなくなります。

※配当金の受給について、民法上では時効は10年ですが、会社が独自に定めている場合、短くなります。上場会社では3~5年としている会社が多いです。

相続税の各種控除や特例等利用できない制度がある

遺産分割方法について決まっていない場合(未分割の場合)、下記の控除や特例等が適用できません。

  • 配偶者控除
  • 小規模宅地の特例
  • 物納の利用ができない
  • 農地の納税猶予の特例

​なお、未分割の場合でも、相続税申告の期限は10ヶ月以内となります。

各相続人が法定相続分で申告を行うことになりますが、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくと、実際に遺産分割内容が決まってから4ヶ月以内に、更正の請求または修正申告を行えば、配偶者控除や小規模宅地の特例を適用してもらい、先に払っていた税金を還付してもらえます。

数次相続が発生して、相続人の数が芋づる式に増える

相続人間で話し合いが終わらず、時間だけが過ぎてしまうことがあります。

そのまま相続手続きを放置していると、相続人のうちの誰かが亡くなり(二次相続)、新たな相続人が出現することになり、更に話がまとまらなくなるといったことがあります。

まとまらないから・・・と言って、何十年と放置してしまうと、相続人が順々に亡くなり、気付いたら現状の相続人が30人を超えていた、なんてケースもありました。

これまでは、放置していても問題にならなかった不動産の名義変更手続きですが、令和6年4月1日より登記が義務化され、放置していると過料を支払うことにもなりかねません。

数次相続が発生すると、手間だけでなく、専門家費用も多額になり、大変なことになります。

認知症や未成年の相続人等が出現する可能性がある

相続発生から時間が経過してしまうと、その当時は問題なかったものの、歳月が過ぎて、認知症になってしまう相続人が出たり、数次相続が発生して、相続人の未成年者の子どもが新たな相続人となり、協議のやり直しが生じたりします。

未成年者の相続人がいると、裁判所を介して特別代理人の選任手続きが必要となる可能性もあり、更に手続きにかかる時間が増えることにもなります。

さらに言えば、数次相続により、相続人の配偶者も新たな相続人として出現する可能性もあり、そうなると血縁関係がない親族になるので、余計にもめてしまうといったことがあります。

相続登記の義務を果たせず、過料が課される

2024年4月1日より、相続登記の義務化が始まりました。

自分が不動産所有者の相続人であることを認識した日から3年以内に相続登記をする必要があり、正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が課せられます。

※2024年4月1日よりも前に発生した相続の登記期限は、自動的に2027年3月31日、となります。

もめていても、放置はしない。何らかの対処を

もめているから、話がまとまらないから、連絡がとれないから・・・

そういった理由で、相続手続きを途中で諦めてしまう方がいます。

遺産のなかに不動産があれば、相続登記の義務化が始まりましたので、新所有者の登録はできないまでも、法定相続分で一旦名義変更したり、相続人申告登記だけはしておく、といった何らかの登記手続きをしておかないと、過料の対象になってしまいます。

遺産に不動産がない場合でも、放置をしておくことで、状況が好転することはほとんどのケースでありません。単純に問題を先送りするだけで、後の世代に面倒な手続きを託すことになるので、速やかに対応していくことをおススメします。

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代表司法書士 鈴木敏弘 画像

この記事の監修について

  • 東京国際司法書士事務所 代表司法書士 鈴木敏弘が監修

相続税申告から不動産・預貯金の名義変更などの相続手続きを何度も経験する方は多くはありません。
そのため、相続手続きで分からないことがたくさんあると思います。当サイトが参考になれば幸いです。

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