2024.6.4更新

認知症の相続人がいても進められる相続手続き

認知症等、法的には判断能力がないとされた相続人が一人でもいれば、成年後見制度の利用なしに、各種相続手続きを進めることは、原則できなくなります。

ただし、以下のような場合、
成年後見制度の利用がなくても、進められる相続手続きがあります。

遺言書がある場合

遺言書があり、遺言が法的要件を満たしているようであれば、遺産分割協議書の作成がなくても遺言書に書かれているとおり相続手続きを進めることができます。

ただし、遺言内容によって、進められない手続きもありますので、以下主なケース例をご参照ください。

遺言書で進められるケース

その1

被相続人A、認知症の相続人B、その他相続人CD

遺言書で、不動産はすべてC、預貯金はすべてD

遺言執行者がCの場合

不動産の名義変更および預貯金の解約(払戻し)手続きはすべて進められる

その2

被相続人A、認知症の相続人B、その他相続人CD

遺言書で、不動産はすべてC、預貯金はすべてB

遺言執行者がCの場合

不動産の名義変更および預貯金の解約(払戻し)手続きはすべて進められる

その3

被相続人A、認知症の相続人B、その他相続人CD

遺言書で、不動産はすべてC、預貯金はすべてB

遺言執行者がBの場合

不動産の名義変更および預貯金の解約(払戻し)手続きはすべて進められる

ただし、遺言執行者が認知症のため、遺言執行事務をとりしきることができませんので、面倒な手続きが多くなります。

遺言どおりに手続きを進める場合は、まず、家庭裁判所に新たな遺言執行者を選任してもらいます。

裁判所で新たな遺言執行者の選任がなされた後、新たな遺言執行者が不動産および預貯金の解約(払戻し)手続きを進め、遺言内容はすべて執行することが可能となります。

遺言書で進められないケース

被相続人A、認知症の相続人B、その他相続人CD

遺言書で、不動産はすべてB、預貯金はCD

遺言執行者がCの場合

預貯金の解約(払戻し)手続きは進められるが、不動産の名義変更手続きは原則進められない(進めるためには、成年後見制度の利用が必要)。

認知症の相続人が不動産を相続する旨書かれている場合、成年後見制度の利用なくして、登記申請ができません。

その理由として、遺言執行者が別の者であっても、登記申請においてはあくまで、新たな登記名義人となる相続人自らの申出によって変更されるものであるため、新たな登記名義人となる相続人が認知症等判断能力を有していない場合、遺言書があっても、成年後見制度を利用して、成年後見人等就任した方が、認知症等の相続人に代わって申請を行うことになります。

遺言書がない場合

遺言書がない場合で認知症等法的に判断能力がないとみなされる方がいらっしゃる場合、原則としてどの相続手続きも進めることが難しくなります。

ただし、以下のようなケースであれば、進められることもできます。

遺言書がなくても進められるケース

被相続人A、認知症の相続人B、その他相続人CD

すべての財産について、法定相続分による分割をする場合

不動産の名義変更については相続人のうち代表者一人からの申請で進めることが可能です。

預貯金の解約(払戻し)手続きは、現時点での残高に応じて、相続人代表者一人でも手続きが進められる場合があります。

※預貯金の解約(払戻し)手続きについて、残高が100万円未満の場合、一人でも進められることがあります。

ただしあくまで、金融機関の任意によるものであり、その上限は100~300万円のところもあれば、残高が10万円未満であっても法定相続人全員の署名捺印が必要といわれるところもあります。

上記はあくまで一例となります。

 

認知症の相続人がいる場合等で、なかなか手続きが進まず困っていらっしゃる場合、ぜひお気軽に当事務所へご相談ください。

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この記事の監修について

東京国際司法書士事務所 代表司法書士 鈴木敏弘が監修

相続税申告から不動産・預貯金の名義変更などの相続手続きを何度も経験する方は多くはありません。
そのため、相続手続きで分からないことがたくさんあると思います。当サイトが参考になれば幸いです。

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