3年程前、母親が亡くなったのですが、少しの預貯金とクレジットカードの支払いや消費者金融からの借金がありました。
相続人みんなで話し合って決めて、父親がすべて相続することになり、専門家へ相続手続きの依頼をして遺産分割協議書も作成し相続人みんなで署名捺印しました。
最近になって父親は借金の返済ができなくなってしまったようで、それを債権者に伝えると、子供がいるならその人も相続人だから代わりに子供に払ってもらうことになると言われたそうです。
遺産分割協議をした上で父親が相続したのであれば、私たち子供は相続しないのではないでしょうか。支払う義務はありますか?
債権者は遺産分割協議書で相続すると決めた相続人以外にも請求できますので、請求された場合には応じる必要があります。
実は、借金などのマイナスの相続財産は遺産分割協議をしても貸金業者などの債権者には通用しないのです。
どういうことかと言うと、借金に関する遺産分割協議はあくまでも相続人間で協議して決めた内容にすぎず相続人間では効力はありますが、債権者は関与していないので対債権者には効力がないのです。
この件については最高裁判所の判例があり、債権者から返済するよう請求された相続人は応じなければならず、法定相続分に相当する借金を返済する義務が生じるとされています。
遺産分割協議書は債権者には効力がありませんが、対相続人には効力がありますので、たとえば、自分が負担した借金を遺産分割協議書上で相続すると決めた相手に遺産分割協議書の効力を用いて請求することができます。
負債を相続してしまった後、
このまま返済しないで放置していた場合はどうなるのか
債権者からの度重なる請求があるにも関わらず放置していた場合、相続人に差押えすることによって回収できる資産があるのであれば、法定相続分に相当する金額を差し押さえされる可能性はあります。
しかし、負債があるから必ず差押えられるわけではなく、負債額や債権者の判断によって異なるのが現状です。
相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述をすることで借金を一切引き継がないことができます。
相続放棄は期限や要件が定められていますが、3ヶ月以内であれば最優先で検討するべき事項です。
3~5年の長期分割することによって返済が可能な場合には任意整理することによって月々の返済額を少額に抑えることができる場合があります。
相続人全員の同意と債権者の承諾があれば、特定の相続人が借金全額を相続するという遺産協議書を作成し、相続人一人で任意整理することも可能です。
明らかに返済が難しい場合は、自己破産を検討することとなります。
自己破産しても、借金全額が免除になるわけではなく、あくまでも申立人の法定相続分のみですので、相続人全員が返済できない場合は相続人全員がそれぞれ自己破産手続きをすることとなります。
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